【BOOK】心の境界線は、「言葉」でつくる/バウンダリー/自己主張のトレーニングをしよう!

心の境界線(バウンダリー・BOUNDARIES)とは、パートナーや友人、家族、同僚とのあいだに適度の距離を保つこと。この心の境界線が曖昧だと、相手に心を掻き乱され、人間関係でストレスを抱えることになります。

この本では、どうやって心の境界線を引いていけばよいのか? その方法が、様々な場面を例にして紹介されていて、たいへん参考になります。

心の境界線を引くことが苦手な人は、相手の要求を断れなかったり、自分の気持ちを相手に伝えられなかったりする人です。

「心の境界線を引くことが苦手な人=自分の気持ち(意思)を言葉で伝えることが苦手な人」と言えるかもしれません。

自分の気持ち(意思)を言葉で伝えることが苦手な人は、言葉で伝える代わりに「回避行動」や「受動的攻撃」を行うと書かれています。これは、私自身にもとても当てはまることがあり、ドキッとさせられました。

〇 回避行動
人から離れる、無視する、周囲から距離をとるといった反応。

〇 受動的攻撃
対立を避けるために、それとなく振る舞い、相手が間違ったことをしていると自ら気づいて行動を正してくれることを願うこと。

言えない人は、往々にして、これらの方法をとりがちで、要求を直接伝えず、態度で示しているつもりになっているのですが、実際には、相手には何も伝わっていないという状況になるのです。

境界線のない人間関係は、いつか破綻するか、自分が不当に扱われるのにうんざりするかのどちらかです。

◆ 心の境界線の大切さ

心の境界線とは、相手との間に壁を作ることではありません。安心できる心地よい人間関係を築くためのものです。自分の気持ち・意思を伝えることで、相手との関係が良好になるのです。そして、相手との間に境界線を引くためには、言葉で伝えるということが大事になります。

「他人」よりも、まずは「自分」を優先する。気持ちを言葉にすることで、相手に自分の意思をはっきりと伝えることができ、よりよい人間関係を築いていくことができるのです。

 

あなたの境界線が尊重してもらえない理由

あなたが自分自身を大切にしていないから
相手に責任を課さないから
弁解がましく一線を引くから
あまりに多くを許容しすぎるから
はっきりと意思を表明しないから

 

自分の意思を伝えることが苦手な人は、周りの人を怒らせたくない、失望させたくないと恐れているのかもしれません。

 

恐れとは根拠のないものです。恐れは、「ネガティブな考え」と「勝手な思い込み」が生み出す幻想に過ぎません。

 

本書では、最初から上手にできなくてもいいと書かれていますから、常にバウンダリーを意識して、練習あるのみですね。

◆ 罪悪感を手放して、まずは、言ってみよう!

境界線を引くための3ステップを紹介します。

ステップ1 分かりやすく端的に

ステップ2 「してほしいこと」を相手に伝える

まず、必要なのは、相手と向き合い、「言いたいことを言う」ことから逃げない勇気です。しかし、言葉で伝えること自体が、「ハードルが高い!」と感じる人もいるかもしれません。そのため、本書では、様々な状況に応じて、どのように境界線を引いていけばよいのか紹介されています。

  • 家族
  • 恋愛関係
  • 友人関係
  • 仕事
  • SNSとテクノロジー

どれも、身近で、起こりうる状況ばかりです。わたしは、今まで、どれだけ心の境界線を曖昧にしてきたか気付かされました。

また、身の回りの侵害に敏感になることも大事だと書かれています。自分が、どれだけ相手に主導権を渡しているのか、相手にどれだけ侵害されているのかを客観的に見つめる目が必要になります。また、嫌だと感じたら、流さない、無視しないで、言葉にして伝えていくことも大切です。

ステップ3 不快感に対処する

そして、本書では、伝えたあとの罪悪感は気にしないと書かれています。なかなか自分の意思を言葉にして伝えることが苦手な人の場合、おもいきって伝えてみたけども、もやもやを抱えるということもあるかもしれません。自分の意思を伝えた後(断ったり、自分の要求を伝えたあと)に罪悪感を感じることもおおいはず。本書では、その罪悪感は気にする必要がないと書いています。

自分の意思を伝えて、罪悪感、恐れ、悲しみ、後悔、気まずさを感じるのは至って普通のことですと書かれていて安心しました。

言える、言えないは、なかなか高いハードルかもしれませんが、長期的にみれば、自分自身の「安心」のためであることを思えば、少しは「言う」勇気がわいてくるのではないでしょうか。

自分の気持ちを伝えることが苦手な人、ぜひ、読んでみてください。

◆ トリガーワード

安心できる心地よい人間関係/回避行動/自分の要求/コミュニケーション/行動/ゴースティング/音信不通/燃え尽き症候群/自分より他人/断れないこと/線引きを避ける/ただ単に頼みを断るではない/罪悪感/後悔/物理的境界線/性的境界線/知的境界線/感情的境界線/物質的境界線/時間的境界線/小さな侵害/大きな侵害/過剰共有/共依存/反依存/受け身/攻撃的/受動的攻撃/心理操作/声を上げる/言葉で伝える/気持ちを伝える/黙認しない/壁/率直なコミュニケーション

  • 題名 心の境界線
  • 穏やかな自己主張で自分らしく生きるトレーニング
  • 著者 ネドラ・グローバー・タワブ
  • 訳者 山内めぐみ
  • 発行年 2022年
  • 出版社 学研プラス