本『伴走者』を読みました/視覚障害者スポーツ/熱い戦い

『伴走者』には、「夏・マラソン編」と「冬・スキー編」の二編が収録されています。

「夏・マラソン編」

「夏・マラソン編」は、視覚障害マラソンの選手と伴走者の話。

伴走者の淡島と視覚障害者の内田は、パラリンピックの出場権獲得を目指し、南半球の小さな島国で開催されるマラソン大会に出場するが…

ギリギリで走っている選手の精神は案外と脆い。自分を安心させるために伴走者が嘘をついているという考えさえ選手の頭には浮かぶのだ。疑心暗鬼になった選手は、伴走者の指示を完全には信用できなくなる。

 

伴走者表紙

「冬・スキー編」

「冬・スキー編」は、視覚障害スキーヤーと伴走者(ガイドレーサー)の話。

学生時代にはトップレーサーとして活躍した立川は、視覚障害者の晴と、国際大会・白野瀬パラの出場を目指し練習を始める―。

指示した瞬間に晴は反応する。旗門までの距離とターンの半径を逆算し、最適なタイミングで指示を出さなければならない。俺ではなく、晴にとって最適なタイミングで。

 


視覚障害者の目となり、ガイドする伴走者が、これほどたいへんな仕事とは知らなかった。

視覚障害者は、健常者とほぼ同じスピードで走り、滑る。

伴走者の一瞬の判断ミスが、即、事故につながる。

視覚障害者がスポーツをする。それだけでも、ハードルはかなり高い。

それぞれの人生を背負い、スポーツに打ち込む姿。

視覚障害者の感じ取っている世界。

エピソードの一つ一つに、驚かされた。

そこには、自分の知らなかった豊かな世界が広がっていた。

二編とも、最後、胸がじーんと熱くなった。
おすすめです!

伴走者裏表紙

  • 題名 伴走者
  • 著者 浅生鴨
  • 発行年 2018年
  • 出版社 講談社

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