『精霊の守り人』『獣の奏者』の作者、上橋菜穂子のエッセー集です。
本書には、海外での様々な体験が綴られています。
それらのエピソードから、海外の空の下でわくわくしながら出会いを楽しんでいる様子が伝わってきて、じんわりと心が温かくなります。
上橋菜穂子は、オーストラリアのアボリジニを中心に研究する文化人類学者でもあります。
海外旅行での様々な体験が、これまでの著作の源にあることを感じさせるエッセー集でした。
分かること、分からないこと、伝わること、伝わらないこと――それよりも、ただ、人が思ってくれることを知るだけで、痛みはこんなにも癒されるのだと知った、一瞬でした。
心に残ったエピソードは、「リンゴの香り」「触って、嗅いで、驚いて」「フロンティアの光」です。
本書には、思わず微笑んでしまう、好奇心旺盛な母親との旅の出来事が、綴られています。そして、表紙、扉絵の作者は父親だそうです。
観光で目にすることなど、ごくごく限られたことに過ぎません。それでもなお、イランで感じたあの驚きを、覚えておきたいな、と思いました。
私はきっと、いつも、世界の半分を知らないまま生きている。そのことを、忘れないために。
- 題名 明日は、いずこの空の下
- 著者 上橋菜穂子
- 発行年 2014年
- 出版社 講談社