上橋菜穂子のエッセー集『物語ること、生きること』を読みました。
本書は、上橋菜穂子が、子どもの頃から現在までを振り返り、創作の道をどのように歩んできたかが描かれています。
驚いたのは、徹底的な体験主義と旺盛な好奇心でした。
武術を習い、アボリジニと生活し、乗馬をする。
そういった、一つ一つの体験があって、「守り人」シリーズの、あの精密な描写が生まれたのかと感嘆しました。
子どもの頃、祖母に聞いた話、考古学者への憧れ、作家か文化人類学者、どちらの道を歩むかで悩んだこと、初めて長編を書いたときのこと…
一つ一つのエピソードに、著者の好奇心の源泉を垣間見ることができます。
そして、著者が世界を理解し、表現しようともがいている姿は、読者に勇気を与えると思います。
行間から、物語を紡ぐことと、真摯に向き合う姿が見えてきました。
相手を否定したり、恐れたり、あるいは自分の領分を守るために境界線を強くするのではなく、境界線を越えて交わっていこうとする気持を持てたら、どんなにいいだろう。
私は、それを、子どものころからずっと願いつづけてきたように思うのです。
子どもの頃から、作家になりたいという夢をひたすら追いかけてきた、著者の衝動が伝わってきました。
本書の最後には、上橋菜穂子が、子どもの頃から読んできたブックリストが掲載されています。
- 題名 物語ること、生きること
- 著者 上橋菜穂子
- 構成・文 瀧晴巳
- 発行年 2013年
- 出版社 講談社
LIFE IS FRONTIER
投稿者プロフィール

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