植本一子『フェルメール』を読みました/現存する35作品に会いに行く旅

現存する、フェルメールの作品は35点。

7か国14都市、17の美術館を巡る旅の記録です。

旅の記録1

マウリッツハイス美術館(オランダ)⇒アムステルダム国立美術館(オランダ)⇒シュテーデル美術館(ドイツ)⇒ウィーン美術史美術館(オーストリア)⇒ドレスデン国立絵画館(ドイツ)⇒アントン・ウルリッヒ公美術館(ドイツ)⇒ベルリン国立絵画館(ドイツ)

本書には、美術館内の写真が多数、収められています。

植本一子は、カメラマン。

旅の前に、デジタルカメラか、フィルムカメラかで悩んだそうです。

そして、悩んだ末、持参したのはフィルムカメラ。

美術館内は、薄暗い場合が多く、

高感度のフィルムを使用して撮影したそうです。

撮影された美術館内の様子は、現地の空気感がとてもよく伝わってきました。

オランダのマウリッツハイス美術館とアムステルダム美術館には、ぜひ、行ってみたい!

マウリッツハイス美術館には、『真珠の耳飾りの少女』、『ディアナとニンフたち』、『デルフト眺望』、

アムステルダム国立美術館には、『牛乳を注ぐ女』、『小路』、『恋文』、『青衣の女』が、展示されています。

印象的な写真は、『真珠の耳飾りの少女』と、その前に座る子供たちを捉えた一枚。

先生に引率されて来たであろう10名ぐらいの子供たちが、『真珠の耳飾りの少女』の前に座って、先生の話を聞いています。

子供たちは、フェルメールの絵にそれほど関心があるわけではなさそうで、みんないろんな方向を向いています。

しかし、こうやって、子供たちが美術作品に触れられる意義は、とても大きいと思う。

美術への関心の高さは、こうやって育まれていくのだろう。

フェルメール表紙

旅の記録2

アイルランド・ナショナル・ギャラリー(アイルランド)⇒バッキンガム宮殿英国王室コレクション(イギリス)⇒ナショナル・ギャラリー(イギリス)⇒ケンウッド・ハウス(イギリス)⇒スコットランド・ナショナル・ギャラリー(イギリス)⇒ルーブル美術館(フランス)⇒メトロポリタン美術館(アメリカ)⇒ワシントン・ナショナル・ギャラリー(アメリカ)⇒フリック・コレクション(アメリカ)⇒イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館(アメリカ)

メトロポリタン美術館には、『眠る女』、『窓辺で水差しを持つ女』、『信仰の寓意』、『少女』、『リュートを調弦する女』の5作品が展示されています。

驚いたのは、これらの作品の前で、スマホを掲げて作品を撮影しているお客さんがたくさんいること。

どうやら、自由に撮影ができるらしい。すごいな。

美術館は、薄暗いものと思っていたけど、自然光が入るところに作品が展示されている美術館もあって、驚いた。

作品が傷まないのか心配だけど、明るいところで作品を観られるのは、とてもいいと思う。

そして、気になったのは額縁。

「フェルメール展」に行った時には、額縁を全く気にしていなかった。

全然、覚えていない。

しかし、本書で、作品が展示されている様子を写真で見ると、あらためていろんな額縁があることが分かった。

どれも、作品一点一点のために、考えられたものなのだと思う。

装飾的なものもあれば、シンプルなものもある。

どれも、作品を引き立てるために重要な役割を果たしていることが伝わってきた。

あと、作品の並べ方も、すごく考えられているのだと思う。

本書は、写真のパートと、旅の日記のパートで構成されている。

ぜひ、本書を持って、現地でフェルメール作品を鑑賞したい!

フェルメール絵葉書

  • 題名 フェルメール
  • 著者 植本一子
  • 発行年 2018年
  • 出版社 ナナロク社

LIFE IS PEARL