令和4年度 伊那小学校指導研究会①【能動的子ども観】様々なテーマで探究する子どもたちの姿に驚きました!

映画『夢みる小学校』を観て以来、いつか行ってみたいと思っていたのが「南アルプス子どもの村小学校」と「伊那小学校」。2023年2月4日に、伊那小学校の公開学習指導研究会に参加することができました。「これが、同じ日本の学校なのか!?」という驚きがいっぱいでした。

◆ 「伊那小学校 公開学習指導研究会」に参加した理由

伊那小学校タイトル1

映画『夢みる小学校』で紹介されていた学校が、南アルプス子どもの村小学校、伊那小学校、世田谷区立桜丘中学校の3校でした。

映画『夢みる小学校』の記事は ーー▷ 【こちら】

「通知表がない学校があるんだ!」
「子どもたちの手で小屋を建てる?」
「動物を育ててる!」

こんな自由な学校があるなら、
いつか見に行ってみたいと思ったのがきっかけでした。

この映画を観て以来、見学に行きたい学校リストに、

  • 南アルプス子どもの村小学校
  • 伊那小学校

が加わりました。

伊那小学校が、参集型の研究発表会を行うのは、3年ぶりだそうです。
ここ数年、公開授業を見ていなかったので、
「これはぜひ行ってみたい!」と思いました。

しかし、ネットを見るとその教育方法に賛否両論。
それなら、なおさら自分の目で確かめてみたいと思ったのが、伊那小学校へ行こうと思った理由でした。

◆ 伊那小学校の学習内容は?

伊奈小学校1

伊那小学校は、通知表がない学校として有名です。
そして、「総合学習」を中心にして学習が進められていて、
ヤギや牛などの動物を飼育しながら学んでいくという学習内容でも、全国的に知られています。

その取り組みには長い歴史があり、三世代に渡って伊那小学校出身という家庭もあるそうです。
公開研究会は、40年以上続いています。

学習内容はとても独特で、すぐにまねできるものではありませんでした。

ちなみに、公開されていた内容は、


○ 1年生

  • ありがとう わたしのカイコ
  • いつまでもいっしょだよ(ポニー)
  • きらきら わくわく あめづくり

○ 2年生

  • 冬も気持ちいいね うずちゃん(うずら)
  • お母さんになるさくらやおなかの中のあかちゃん おじいさんになるまろとの冬(ヤギ)
  • ぶうちゃん親子となかよく生活しよう(ぶた)

○ 3年生

  • ありがとう ききちゃん家族(羊)
  • 盛り上げよう、通り町の街づくり
  • アイガモさんにありがとうの気持ちをこめて

○ 4年生

  • つくってみたいな こだわりのとうふ
  • 林のくらしを 智組のみんなと楽しもう
  • 知りたい 感じたい 川に棲むアマゴのこと

○ 5年生

  • 明組プラネタリウムをつくろう
  • 自分たちがつくった麵料理を食べてもらいたいな
  • アスレチックで楽しもう
  • 開催! 新生文組フェス

○ 6年生

  • わたしの酵母パンを焼いて幸せのおすそ分け♪
  • 生まれ変われ ぼくらの竹林
  • 食べて喜んでほしい 私の心を練り込んだ上生菓子

この振り切った内容に、びっくりしました。

◆ 学級によって学習する内容が違う!

研究会案内の資料を見て、その活動数の多さを不思議に思っていたわけなのですが・・・上記のように、学級によって学習する内容が違うのです。

学年内で活動内容を揃える方が、一般的だと思います。

例えば、一年生は3学級あるのですが、それぞれ、ポニーを育てている学級、蚕を育てている学級、飴(あめ)を作っている学級に分かれます。

そのバリエーションがすごいと思いました。

あと、会計も、学級ごとに行っているのだそうです。
伊那小学校は、学級ごとに活動内容が違うため、別々の会計なのだそうです。
たしかに、馬を育てている学級と、あめを作っている学級では、かかる費用が違ってきます。

プール横には、学級ごとに大きなコンテナが設置されていて、アルミ缶を集めていました。
これは、各学級の学習活動の資金になるそうです。

伊那小学校 コンテナ

◆ 総合学習の可能性を学ぶことができました!

伊那小学校3

実際に見学してみて、たくさんのことを学ぶことができました。

とくに体験することで得ることは、とても多いことを実感しました。
動物を育てたり、豆腐を作ったりすることで、問いが生まれ、調べ、より深く学ぶことができます。
また、ただ体験するだけではなく、そこから派生する様々な課題に子どもたちは主体的に関わっていきます。

ヤギの糞を数えたり、小屋を建てたり、まゆから糸を紡いだりしながら、結果、より多くのことを学ぶことができるのだと感じました。
図鑑を読むだけでは、これだけの学びへと広げることは不可能です。

しかし、学級によってこれだけ活動内容に差があると、保護者にとっては不安な気持ちになることも分かりました。

子どもの立場に立ってみると、
「いいなー、ぼくもポニーを育てたいなー」とか、「あめ、おいしそうだな。食べたいな」
という子どもがいると思います。
子どもたちは、どのように折り合いをつけていくのかも気になりました。

また、先生にとっても、かじ取りが難しいところだと感じました。

小学校に勤める身としては、学習内容の豊かさとスケールの大きさに驚かされました。
年間を通して、これだけ様々な活動ができる環境をうらやましく感じると同時に、ここまで一生懸命、子どもたちの学習のために活動している先生方の姿に頭が下がりました。

学習者主体の授業、能動的な子ども観に立脚した授業からは、多くのことを学ぶことができました。

現在勤めている学校で動物を飼うというわけにはいきませんが、伊那小学校で学んだ「内から育つ」という子ども観、授業観は、すぐにでも取り入れることができると感じました。

そして、総合的な学習の時間への、見方、可能性を大きく広げることができました。

伊那小学校2