【感情・人格心理学 第4章】出生直後から、感情の発達は始まっている / 感情の発達と共に育まれる自己認識と他者理解

【放送大学『感情・人格心理学』第4章】今回は、「感情の発達」と、「コミュニケーションの発達」の関連についてです。3歳頃には、「恥」や「罪悪感」といった感情が、すでに生まれているということに驚きました。「感情の発達」と「コミュニケーションの発達」を図解でまとめてみました。

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◆ 出生直後の「一次感情」と「コミュニケーションの発達」

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感情の発達は、出生直後の6か月ぐらいまでに見られる「一次感情」と、それ以降の「二次感情」に分けられます。

一次感情は、「苦痛」、「満足」、「興味」の3つです。

成長と共に、満足から「喜び」が、興味から「驚き」が、苦痛から「悲しみ」「嫌悪」が分化します。

その後、「怒り」と「恐れ」が生じます。

  • 満足 → 喜び
  • 興味 → 驚き
  • 苦痛 → 悲しみ・嫌悪 → 怒り・恐れ

これらの感情の発達は、心理学者のルイスが提唱した理論です。

  • 社会的微笑…表情で大人に働きかけたり、興味をもったものに声を出して呼びかけようとしたりすること。
  • 下出し模倣…新生児の目の前で大人が舌を出したり、引っ込めたりすると、赤ん坊はそれをまねして自分の舌を出したり引っ込めたりすること。
  • エントレインメント…母親が赤ん坊に声をリズミカルにかけると、その1秒から2秒後に赤ん坊が手足を動かして同調すること。

◆ 1歳頃からの「二次感情」と「コミュニケーションの発達」

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10か月ぐらいから、相手のまなざしを理解して行動するようになります。

1歳を過ぎるころから現れるのが「二次感情」です。

二次感情には、「恥ずかしさ(てれ)」、「羨望」、「共感」があり、3歳を過ぎる頃には、「誇り」、「恥」、「罪悪感」が分化してくるそうです。

これらの感情は、自己の内面性の発達と他者意識と深い関連性があります。

自己認識が深まらなければ、「恥」や「罪悪感」といった感情をもつことはできません。

Gibson&Walk(1960)の視覚的断崖の実験(visual cliff experiment)(図4-2)では、手前は市松模様の床だが途中から透明のガラス張りとなっている実験セットの上に子どもを置く。子どもは向こう側にいる養育者を見つけるとそこにハイハイしていくのだが、途中ガラス張りになっているところからは、深い段差があるように見えるのでいったん立ち止まり、養育者の顔を見る。養育者が微笑みかければ、安心して進んでいく。しかし、養育者が不安な顔をすると、いくら魅力的な玩具が向こう側にあっても、決して進もうとはしない。

1歳頃から、養育者の複雑な表情を読み取り(!)、感情状態を理解し(!)、自己の行動を制御する(!)ようになります。

ちなみに、このセットに山羊を載せても、決して前に進もうとはしないそうです。

本章で、「感情の発達」と、「自己理解」・「他者理解」の発達が大きく影響し合っていることが分かりました。

また、この頃からすでに、「恥」や「罪悪感」といった感情をもっているということなので、養育者の表情と言葉掛けが、新生児の内面に大きな影響を与えていることがよく分かりました。