2023年2月号『ニュートン』/バイアスの心理学/教師は「生存者バイアス」に気を付けよう!

「先入観」、「偏見」、「思い込み」のことを、認知バイアスと言います。2023年2月号『ニュートン』では、様々な認知バイアスが紹介されていました。その中でも、「生存者バイアス」と「正常性バイアス」は、教師にもあてはまるなと感じました。

2023年2月号『ニュートン』の記事から、気になった認知バイアスを3つ紹介します!

◆ 正常性バイアス…「これくらいなら大丈夫」

一つ目は、「正常性バイアス」です。

これは、日常ではめったに起きない大きな災害の時に、
いつも通りの行動を続けようとすることです。

2018年夏、集中豪雨があった時、避難勧告が出ていても、4割の人は逃げていなかったのだそうです。

後で、アンケート調査を行った結果、
「これまで災害を経験したことがないから、まだ避難するほどではないだろう」、
「2階に逃げれば大丈夫だろう」と判断し、避難しなかったのだそうです。

このように、「正常性バイアス」には、被害リスクを過小評価してしまう傾向があります。

バイアスの心理学2

◆ 希少性バイアス…「限定品が欲しい!」

二つ目は、「希少性バイアス」です。

これは、「希少性がある=その物が優れている」と考えてしまうことです。

ケーキ屋さんのショーケースの中に、
たくさん残っているケーキと、残りわずかなケーキがあったとしたら、
どちらを買いたくなりますか?

商品の数が少ない→人気があるかも→買ってみよう!
となる傾向が高いのだそうです。なるほど。

そうなると、「行列バイアス」もあるなー
行列があると、
つい人気のある、いい物なんじゃないかと思ってしまいます。

今しか手に入らないと言われると、余計に強く手に入れたいと思ってしまう。
そして、それが売り切れたと知ったときには、悔しさを感じたりして。

自分も、限定品には弱いですね。

バイアスの心理学1

◆ 生存者バイアス…「成功事例から学ぶだけではダメ!」

三つめは、「生存者バイアス」です。

第二次世界大戦中、アメリカ軍は、軍用機の装甲を強化しようと考えました。

そこで、戦場から帰還した機体の弾痕を調べ、被弾数が多い部分の装甲を強化しようとしました。

しかし、見方を変えれば、被弾数が多かった場所は、撃たれても墜落しなかった場所ということになります。

バイアスの心理学3

装甲を強化する場所を決めるためには、帰還しなかった機体も調査する必要があるのです。

つまり、成功者から学んでいるだけではダメということです。

しかし、私たちが目にするものは、成功者の事例です。失敗事例を目にすることは、ほとんどありません。

いかに、失敗事例を見つけ、そこからから学ぶのかが大切になるのですね。

◆ 教師は、「正常性バイアス」と「生存者バイアス」に囚われている!

『ニュートン』の特集を読んで、教師は、 これらの「認知バイアス」に気を付けなければいけないと感じました。

自分だけは大丈夫だと信じる「正常性バイアス」。
これは、教師にもあるあるだなーと感じました。

大きな事故や事件につながらなかったとしても、
トラブルが起こったとき、
「この程度だったらなんとかなるだろう」、
「自分の教室だけは安心」と判断してしまい、
対応が遅れるということはあると思います。

そして、「生存者バイアス」。

「学校教育」は、学校教育と親和性が高かった人たちによって営まれています。
教師は、学校教育で生き残った人たちと言えます。

そもそも、学校が嫌いだから教師になったという人は、ほとんどいないでしょう。

学校教育からドロップアウトした人たちの意見は、
現在の学校教育には反映されにくい構造になっているのです。
教師は、まず、そのことに自覚的になる必要があると思います。

教師は、「正常性バイアス」と「生存者バイアス」に囚われている。

「男の子は・・・」、「女の子は・・・」、
「あの子は・・・」、「あの家庭だから・・・」という、
ステレオタイプな見方(先入観)にも気を付けたいですね。

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