この本を読めば、「学び」に対する見方が変わります。
全体で約350ページある本です。
量が多いので、今回は前半部をまとめた前編です。
筆者は、学習の方法を学ぶことは、「究極のサバイバルツール」、あらゆるスキルの前提となるスキルであると述べています。
「学び方を学ぶ」。
このスキルを身につければ、これから情報機器が発達し、時代が移り変わっても社会をサバイブしていくことができるはず。
そのテクニックを本書で学んでいこう!
第一ステップ/Value/価値を見いだす/学ぶ対象を自分の生活と結びつける
そこで解決策となるのがラーン・クラフティング、いうなれば課せられた知識の習得に意味を探す作業だ。具体的には、自分に次のような問いかけをする。この学ぶ対象は私にとってどう価値があるのか? どうすればもっと自分に関連性があるようにできるか? この知識を自分の生活にどう利用できるか?
学びの第一ステップは、学ぶ意味を自らが発見することです。
課題を、自分の生活に引き寄せて、身近に感じることができるかどうかが、学習に対する意欲に大きく影響します。
学習することと自分自身の生活の間に、つながりを見つけることが、鍵になるのです。
自分に関連性があると感じることが、学びの第一歩。
教える側であれば、いかに日常生活と学びのつながりを意識させることができるかが鍵になります。
知識の習得に意味を探す作業が、学習者の学びを起動させるのです。
「この学ぶ対象は、私にとってどう価値があるのか?」
学習意欲は、自分にとって価値があると認めなければ起動しません。
学習者がこのことを実感しなければ、学びはスタートしないのです。
学びへの第一ステップの意義は、とても示唆に富んでいました。
第二ステップ/Target/目標を決める/自分で自分に、学びの状況を問いかける
学習には自分がこれから何を学ぶか、今どれだけ学べているかを認識することが大事だ。学ぶ準備はできているか? 自分が知っていることを分かっているか? 学び足りていないことが何か分かっているか? 次に学ぶことは何か? このような目標を絞り込んだ、メタ認知的な焦点の当て方が、新しい分野で知識を習得しようとするときの要である。
「自分は何が苦手か」、「自分が分かっていることは?」、「どれだけ理解しているか?」という問いかけは、学習におけるメタ認知の例です。
自分を第三者の立場から客観的にみるという視点は、学習に大きな影響を与えるそうです。
自分の状況を客観的に捉えることは、かなり高度で知的な作業です。
自分の立ち位置を冷静に見つめることができるというだけで、かなり能動的な学習者といえるでしょう。
また、学ぶ時には、スモールステップを意識して、計画的に学習を進めていくことが大切になります。
教える側が、今よりも少し背伸びをしたら届きそうな課題を与えていくことにより、子どもたちは、少しずつ学びを深めていけます。
学びの階段を上がっていくことは、一足とびにはできません。
計画的に、一歩ずつ確実に上がっていくことが一番の近道です。
第三ステップ/Develop/能力を伸ばす/苦痛・苦労・努力
アメリカで、次のような実験が行われた。
ダーツの遊び方を初めて教わる女子生徒たちを、三つのグループに分けました。
一つ目のグループは、ボードのできるだけ中心を狙うように指示された。
二つ目のグループは、ダーツの投げ方、腕の動かし方等の技術を教え、ある程度うまくなってから、的を狙って投げる練習に取り組んだ。
三つめのグループは、「ベストを尽くせ」とだけ指示された。
一番成績が良かったのは、二つ目のグループでした。
また、このグループが一番ダーツを楽しんだそうです。
この実験から、技術の習得が、学習の基礎においてとても大事なことが分かります。
知識は、学びの土台になるのです。
そして、次のステップの狙いをどこに定めるのか、これが自分の能力を伸ばす大事なポイントになります。
スキルを身につけるためには、多少の、苦労や努力が必要になります。
時には、厳しいフィードバックも必要かもしれません。
これらが、脳へのスパイスになるのです。
適切な段階を経て、初めて、能力を伸ばすことができるのです。
◆ トリガーワード
サバイバルツール/ナレッジエフェクト/価値/目標/能力/レゴ/マインクラフト/探求心/意味づけ/メンター/知識/ちょうどいい/検索練習/生まれ派/育ち派
- 題名 Learn Better 頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ
- 著者 アーリック・ボーザー
- 訳者 月谷真紀
- 発行年 2018年
- 出版社 英知出版