【BOOK】小山進『あなたの「楽しい」はきっと誰かの役に立つ』を読みました/探究を楽しむことが、人生の質を高める/ワクワクを再発見しよう!

兵庫県三田市で『パティシエ エス コヤマ』を主宰している、パティシエ小山進の本です。
ケーキへの情熱が溢れまくっている本です。
たいへん刺激を受けました。

小山進の前向きさ・探究心は、どの職業の人にも参考になり、学ぶことが多いと思います。

◆ 常に自問自答し、自分を再発見する・仕事を再発見する

小山進は、誰にも寄りかからず、常に自分の頭で考え行動する人です。

本書の中には、度々自分自身に問いかける言葉が出てきます。

  • 自分はいったい何屋なんだ?
  • 私はなぜこのケーキをつくるのか?
  • 私はどんなクオリティで生きていきたいのか?
  • 『言いました』のレベルで生きていきたい?
  • 『伝わりました』のレベルで生きていきたい?
  • 自分と向き合う自分はいるか?
  • このままでいいのだろうか?
  • やらなくてはいけないことは何か?
  • なぜ自分はこの仕事を選んだのか?


常に、自分に対して問い掛け、自分で考え、答えを見つける。
多分、それが、自然にできる、習慣になっているのだと思います。

小山進は、「ケーキ屋を再発見する」、「自分を再発見する」、「仕事を再発見する」という言葉を使っています。

自分をバージョンアップさせる手段として、繰り返し自分の頭で考えているから、仕事の質を高めていくことができるのだと思いました。

チョコレートに合う、トウガラシやライムを求めて世界中を旅するなんて!

そのエピソードもとてもおもしろい!

◆ 仕事のクオリティが、人生のクオリティにつながる

僕たちは「答えのない探求」をしているチームだと言っていい。すでに用意されている答えに合わせていくのではなく、自分自身が疑問を持ち、自分で解釈していく。その答えのない探求の機会を、お客様から与えられている。<p108>

 

第16章のタイトルは、「私はどんなクオリティで生きていきたいか?」。

これ、ケーキ屋さんの書いた本ですよ!

人に頼らず、出来合いの答えを探さず、常に自分の頭で考え行動する姿勢が、ケーキの質につながり、そして、人生の質の向上につながっているのでしょう。

その思考の過程を楽しむ。

もう、毎日わくわくしながら、ケーキやチョコレートを作っているんだなあということがすごく伝わってきます。

どうすればもっとおいしくなるか?
どうすればお客さんを楽しませることができるか?

自分で自分を超えていくという、ある意味ストイックな生き方ですが、常に楽しみながら取り組んでいる姿勢が伝わってきます。

その姿勢が、お菓子に表現され、お客様の心を動かすのでしょう。

ひとつのことを探究する姿勢は、どの仕事でも見習うことができるものだと思います。

◆ 「言う」から「伝える」、そして「伝わる」へ

ここまでお店が大きくなること、事業が多岐にわたることはある程度予想していたのではないかと思います。

一般的なケーキ屋のイメージとは全く違うものを、小山進は見つめていたのではないでしょうか。

それを支えるのは、小山の言葉に対するこだわりです。

混ぜる、こねる、泡立てる、伸ばす、焼く・・・お菓子屋の仕事を動詞で表現すると、一般的にはそうした言い方になる。

でも、僕の場合は違う。考える、見せる、伝える、生み出す、発見する、褒める、表現する、感動する、納得する、学ぶ、成長する、悩む、挑む・・・といった動詞で仕事をしている。そうすることが好きだからだ。(p230)

 

本書には、お客様とのやりとりやスタッフとのやり取りにおいて、数々の失敗エピソードが載っています。

そこから、何を学ぶのか?

どうすれば改善できるのか?

どうすれば分かりやすく伝えることができるのか?

これらを、常に考えてきたからこそ、ケーキ屋さんの枠を超えた仕事をしているのだと思いました。

日常生活でも、「言った」だけで、相手に「伝わっている」と思い込んでしまうことは多々あります。

そこに「伝えよう」と努力すること、思いを込めることをどれだけやっているのか?

「言った」、「言っていない」というトラブルを超えて、より質の高い仕事を目指し、行動していく。

小山は、自分の持っている能力を「標準装備」ということばで表現しています。

どんなに素晴らしいアイディアを持っていても、行動しなければダメ。

そして、その行動からなにがしかを学び取ることで、初めて自分の能力が高まったといえます。

その経験が、自分の「標準装備」になったということです。

エンターテインメント性を重視する僕は、ときにイレギュラーなことが起こっても、それも一興だと考える。標準装備のレベルを高める努力を怠らないけれど、一方では、遊んでいる感覚で仕事をするよう心がけている。(p276)

 

「レベル高っ!」

 


前著『心配性だから世界一になれた』、『丁寧を武器にする』もとても刺激的な本でした。

『パティシエ エス コヤマ』のホームページは、こちら
美味しそうな写真の数々に、目を奪われますよ。

現在、ドライブスルー方式で商品の受け渡しをするという試みに挑戦しています。

「すげぇ!」

◆ トリガーワード&フレーズ

何のために働くのだろう/ケーキを中心としたいろんなことをつなげていく人/自分基準での成長を目指す/自分の軸が本物/言うと伝えるはまったく違う/面白いか?/報告書/自分を自分で超えていく/私はなぜこのケーキを作るのか?/私はどんなクオリティで生きたいのか?/もう一人との自分との対話/「伝える」よりも「伝わる」/動詞の言葉/今日も自分から楽しんで仕事をしよう/自分の納得レベルとの闘い/ケーキ屋を再発見/自分が変わっていくチャンスは無限に現れる/反省と修正の連続/思い込みを捨てる

 

題名 あなたの「楽しい」はきっと誰かの役に立つ
著者 小山進
発行年 2019年
出版社 祥伝社

LIFE IS Verb