教育雑誌『教育研究』の2022年4月号の特集テーマは、「教室の心理的安全性」でした。執筆者は、赤坂真二氏、諸富祥彦氏など、とても強力な布陣。たいへん興味深いテーマなので、ちょっと古い号ですが、内容をまとめてみました。
「心理的安全性」は、エイミー・C・エドモンドソンが1999年に提唱した言葉です。企業において「生産性が高い組織は、心理的安全性も高い」という研究結果を発表し、注目を集める言葉になりました。
本誌では、「心理的安全性」と合わせて、もう一つ、「安全基地」(セキュアベース)という言葉が紹介されています。こちらの言葉の方が、「学級」とぴったり合うなと感じ、使用しました。
お互いを大切に思い、尊重できる関係性が、学級の安心感につながる大きなポイントだと思います。
◆ 安心できる空間が、成長の土台をつくる
本誌を再読し、どうすれば、子供たちにとって教室が安心・安全な場になるのか、改めて考え直す機会になりました。
加藤宣行氏は、精神的な居心地のよさとして、次の三つを挙げています。
・必要とされている
・存在感がある
・貢献している
この中でも、とくに「貢献している」という感覚は、とても大切であると最近感じています。
この「貢献感」は、子供たちが、自分の居場所を見つけるための大きなきっかけになると思います。
①の「土台」というキーワードは、加藤宣行氏の道徳の実践で紹介されていた言葉から、お借りしました。
◆ 教室が、自分らしさを発揮できる空間になる
子供たちは、よりよい自分になりたい、よりよい自分を見せたいと強く思うあまり、極度に失敗を恐れる傾向があります。
自分らしさを発揮できるようになるためには、安心して失敗できる、失敗してもやり直すチャンスが何度も与えられることが大切です。
そして、小学校生活でたくさんのことに挑戦し、たくさん失敗して、その子らしい、自分だけの花を咲かせてほしいなあと願っています。
◆ どうすれば、学級が安全基地になるのか?
では、どうすれば、心理的安全性が保たれた学級を築くことができるのか?
上記の3つを考えてみました。
主に、明治大学教授の諸富祥彦氏の論考を参考にさせていただきました。
「個(一人一人の子ども)の心が押し殺され、ルールや秩序だけがある学級」でもない。
「個(一人一人の子ども)は元気だが、バラバラでまとまりのない学級でもない。
「個が生きることができるつながり」があり、その「つながりゆえに個が生き生きできる」。そんな学級を私は理想だと考えている。(p.21、諸富祥彦「「教室の心理的安全性」をつくるのは、ルールとリレーション」)
諸富祥彦氏は、心理学者であり、カウンセリング心理学でも著名な方です。
本誌は、学級経営においてどうやって「心理的安全性」を高めていけばよいのかを考えるうえで、とても示唆に富む内容が豊富に書かれています。
教員になってまだ間もない方から、ベテランの先生まで、ぜひ、読んでみてください。
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ちなみに、こちらは本家(!?)
エイミー・C・エドモンドソン『恐れのない組織 「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす』英知出版、2021年
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