【土居正博 / 国語授業の「常識」を疑え!】教育現場には、たくさんの「常識」があふれています。「音読を宿題にするのは当たり前?」、「漢字の練習方法に決まりはあるの?」、「物語文を読んだら、まずは感想を書かせる?」・・・なかには、100年前から変わらずに残っている「常識」があるそうです! そんな教育現場の「常識」とどのように向き合い、乗り越えていけばよいかが丁寧に書かれていました。教師は、必読です。
◆ 教育現場の「常識」って何?
土居先生は、「常識」を、
- 手法常識…具体的な手法に関する常識
- 概念常識…抽象的な考え方や理念に関する常識
の2つに分けています。
そして、それらの「常識」が教育現場に定着した要因として、
- 明文化…教育書や論文などで明文化され広まった「常識」
- 口承…現場で生まれ、口承されて受け継がれてきた「常識」
の2つを挙げています。
教育現場の「常識」を、ただ批判するのではなく、このような視点で分析するところに、本書の凄さがあります。
◆ 教育現場の「常識」に気づく
普段から、当たり前にやっていることに目を向けるのはとても難しいことです。
教育現場では、その「常識」が空気のような存在になっている場合も多いと思います。
そこで本書では、「常識」に気づくためのポイントとして、
- 子どもの様子をよく見て、本当に成果が出ているのかを確かめる
- 何のためにやっているのか、立ち止まって考えてみる
- 書籍・理論に学ぶ
の3つが提案されています。
現在、教育現場で取り組まれている実践に、「それ本当?」という目を向けることは大切です。
その理由は、3つ。
- このままでは、教師も子どもも思考停止。
- 時代の流れに教育現場が取り残される。
- 自由な発想で授業を創ることができなくなる。
それでは、どうやって「常識」を乗り越えていけばいいのでしょうか。
本書では、教育現場にあふれる常識をひとつひとつ丁寧に紐解いていきます。
◆ 「常識」を改善する7つのステップ
ただ、現状を批判するのではなく、
その改善のステップを、7つに分けて解説しています。
過去の実践の背景・目的を知り、目の前の子どもたちに有効かどうかを考える。
そして、どんな力を身に付けさせたいのかという視点で、改善策を創造する。
これまで受け継がれてきた「手法常識」には、それらが求められ時代背景があったはずです。
まずは、先人たちの功績をリスペクト。
そして、時代背景とその「常識」のよさをしっかりと理解し、そのうえで改善していく。
この分析力は、すごい!
これまでの「常識」に執着し、新しい考えを取り入れることに臆病になってはいけないなー。
常識を乗り越え、新たな発想で授業を創ることは、教師の醍醐味。
本書には、具体的な事例がたくさん掲載されています。
詳しくは、本書を手に取ってみて。
目から鱗が落ちますよ。
- 題名 国語授業の「常識」を疑え!
- 著者 土居正博
- 発行年 2023年
- 出版社 東洋館出版社
巻末の、引用文献のリストを見るだけでも勉強になりますっ!