いしいしんじは、好きな作家の一人。
『きんじょ』は、いしいしんじのお子さん、ひとひくんの成長を記録したエッセイです。
その場小説
10年近く前に、四日市にある児童書専門店「メリーゴーランド」で、いしいしんじの話を聞いたことがあります。
当時、いしいしんじは、講演をしながら、ライブで短編小説を書くということをしていました。
その場で思いついた物語を、画用紙に鉛筆で書きながら、朗読していきます。
メリーゴーランドでも、その「その場小説」を書く姿を見ることができました。
物語の展開も、登場人物も、その時と場にシンクロした内容で、メリーゴーランドの店主が一番驚いていました。
この日がきっかけとなり、いしいしんじの小説を読むようになりました。
その時の小説は、『その場小説』(幻冬舎)に収録されています。
毎日が冒険
『きんじょ』には、いしいしんじさんのお子さん、ひとひくんが体験したさまざまな出来事が、描かれています。
住んでいるところは、京都。
ひとひくんが3歳ぐらいの頃から、小学校へ入学するぐらいまでの出来事を中心に、描かれています。
駐車場で「どぅしぃぼ、あるで!」と叫び、
お菓子屋で「すんませーん。シュークリームの、クリームぬきで、おねがいしますう」と注文し、
本屋で『RARE ナショナルジオグラフィックの絶滅危惧種写真集』を購入するひとひくん。
日常の、何気ない出来事が、読者をほんわかと包み込みます。
ひとひくんが、のびのびと生活している姿が、まぶししいです。
このエッセイを読むと、心は、一気に京都へ。
息抜きにぴったりの大好きな本です。
- 題名 きんじょ
- 著者 いしいしんじ
- 発行年 2018年
- 出版社 ミシマ社
LIFE IS KINJYO