総合学習で有名な伊那小学校の研究会に参加しました。校庭では、子どもたちが、馬と散歩をしたり、石窯でパンを焼いたり・・・驚くことばかりでした。そこで、疑問に思ったのが、「4月にどうやって、子どもたちを「材」(学習課題)と出合わせるのか? どうやって、「材」を立ち上げるのか?」という点でした。
伊那小学校指導研究会① ーー▷【こちら】
◆ 「材」(学習課題)の立ち上げは、子どもたちと先生の共同作業
今回の訪問で、一番知りたかったことが、
「どのような過程を経て馬を飼ったり、蚕を育てることになったりしているのか?」
ということでした。
これは、直接、伊那小学校に勤めている先生方からお話を聞くことができました。
公開授業の後、直接、先生方に質問をすることができました。
分かったことは、
初めから馬を育てる、ということが決まっているわけではなく、4月から活動を始めて、徐々に子どもたちの関心の向かう先を探っていき、最終的(6月頃)に、馬を飼うことになっていったということでした。(1年の先生)
「子ども任せではないし、かといって、教師主導でもない」と話されていました。
1年生の別の学級では、蚕の糸を紡いでいたのですが、出発点は、散歩中に天然の蚕を見つけたことから始まったのだそうです。
1年生は、四月から頻繁に校内(広い!)・校外へ積極的に出かけ、遊びながら発見したことを蓄積し、子どもたちの興味関心を引き出しているようでした。
その活動の中から、総合学習で取り組む内容を絞っていきます。
つまり、最初から馬や山羊を育てることが決まっているわけではないということです。
「子どもたちが納得しなければ、動物を飼うことはなかった」と話されている先生もいました。
今まで積み重ねてきた歴史もあり、
お兄さん、お姉さんが、山羊を育てていたから、牛を育てていたから、今度はわたしたちがやってみたいという思いもありそうです。
しかし、子どもの側から「馬を飼ってみたい!」という意見が出たとしても、
それを実現するには、多くのハードルがありそうです。
また、教員の側に相当な覚悟がないと、実現は無理だと思いました。
土日や長期休業中のお世話もたいへんそう。
昔は、うさぎやにわとりを飼育していた小学校も多かったと思いますが、現在では、珍しくなりました。
それでも、それを受け入れることができる環境がすごいと思います。
そして、学習内容は、子どもたちの興味関心の向く先を探りながら、
常に軌道修正して学習を進めているようでした。
◆ 学習内容の深め方がすごい!
6年生のある学級は「上生菓子」をテーマに学習を進めていたのですが、なんと、畑を耕し、大豆を育てることからスタート!
体育館で行われた学習発表では、この学級が発表を行っていました。
ライブで和菓子を作っていたのですが、とても上手でした!
また、お豆腐を作っていた学級があったのですが、なんと7回目!
大豆を育てることはもちろん、豆腐箱も手作りだそうです。
馬小屋を建てたり、柵を作ったりといった活動も、子どもたちで行っているそうです。
「材」の深め方、広げ方が、想像をはるかに超えていて、
そのスケールの大きさには驚かされました。
◆ 様々な学びに広がる総合学習
教室には、絵や詩、模型などたくさんの作品が飾られていましたが、そのどれもが総合学習の発展型。
「学習発表」では、これまでの学びを歌にして発表していました。
豆腐作りの「豆腐箱」も手作りだそうです。
総合学習で学んだことを、さまざまな形でアウトプットしていることが分かりました。
伊那小学校は、3年間の持ち上がり。つまり、1~3年生、4~6年生までは、同じ仲間と学んでいくことになります。また、担任の先生も、異動がなければ3年間同じということになります。
総合学習は、3年間、同じテーマで深めていくこともあれば、子どもたちの興味関心の向かう先に合わせて、発展していくこともあるようです。
いずれにしても、総合学習を基盤にして、教科書を越えて、広範囲に学びの地平が広がっていく様子を目の当たりにすることができ、たくさんの刺激をもらいました。
生き生きとした子供たちの表情の裏側には、先生方のきめ細やかな配慮があることも分かりました。
伊那小学校の先生方には、初歩的な質問にも丁寧に答えていただきました。
ありがとうございました。
来年度の総合学習が、楽しみになりました!